報道資料
2010年12月27日
セコム株式会社

日本初の立体顔画像を使った歩行型顔認証システム
「ウォークスルー顔認証システム」(仮称)を開発
自然に歩いている状態で入退室管理から不審者検知までを行う画期的新システム

セコム株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:前田修司)は、監視カメラで撮影された画像のみを用いて自然に歩いている人物の認証を可能とした「ウォークスルー顔認証システム」(仮称)を開発。来年度中の商品化を目指します。これまで、顔による認証を行うためには、専用のカメラに正対、静止することが必要とされていましたが、この「ウォークスルー顔認証システム」(仮称)は、カメラを意識することなく歩いている人物の認証を、独自の立体顔画像構成技術により高精度かつスピーディーに実現する、日本初(セコム調査)のシステムです。

NPO日本ネットワークセキュリティ協会「2009年情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」によれば、2009年に発生した個人情報漏えい事件は1539件、想定損害賠償額は約3890億円に及びます。漏洩した個人情報の約35%は内部犯罪・不正持ち出し・盗難によるものとされ、企業では確実なアクセス管理と本人確認のニーズが高まっています。近年、ICカードやタグが普及し、複製や偽造による詐称の問題は大幅に減少しましたが、依然として盗難や紛失、貸与による“なりすまし”の危険性がありました。

これらを背景に、指紋や静脈パターンなどのバイオメトリクス(生体認証技術)によるより高精度の認証システムに対するニーズは年々高まっています。中でも自然な歩行状態での顔認証システムはバイオメトリクスの本命とも言えますが、その実現には高度な画像処理技術が求められるものでした。弊社では、1988年に日本初の指紋照合システム「セサモID」を発売したのを皮切りに、1998年には日本初の画像認識技術を用いたオンライン画像監視システム「セコムAX」、2003年には日本初の顔検知機能を内蔵したインターホン「セキュリフェースインターホン」の発売と、画像認識技術の研究を長年にわたって継続してきました。 これらの技術を土台に、「ウォークスルー顔認証システム」(仮称)の研究開発を行い、このたび、自社内での試験運用を経て実用化の目処がついたため、来年度中の商品化をめざすことになりました。

■「ウォークスルー顔認証システム」の概要

「ウォークスルー認証システム」は、施設内のエントランスや廊下に設置された監視カメラを活用し、顔画像が登録された人物を認証します。認証結果は、監視モニター上に表示され、管理者などに通知することも可能です。また、顔画像が登録されていない人物や通行権限がない人物が来訪した場合には警告を発するように設定することもできます。さらに、電気錠付の扉や弊社のオンライン・セキュリティシステムと連動させることで、入退室管理システムとして稼動させることも可能です。




本システムは、以下のような用途での活用が見込まれます。


(1) 従業員の入退室管理
 オフィスや店舗の通用口や廊下に監視カメラを設置し、システムに登録されている従業員のみの通行を許可します。顔が登録されていない人物や不審者が通行した場合は警告を発し、管理者に通知することで、不正な入退室を防ぎます。
 複数人が同時に通行する場合でも、通行者全員の本人確認を一度に行うことができるため、セキュリティゲート等が設置できない場合でも、共連れによる不正な入退室を警戒することが可能です。
(2) 事前に登録した人物の来訪検知
 VIPや重要顧客を事前に登録しておくことで、来訪をいち早く検知し迅速に対応することが可能です。また、万引き常習犯などの不審人物を登録し、来訪を検知することも可能です。
(3) 通行者の記録・管理
 通行者の顔認証結果と顔画像を記録することで、過去の通行履歴を確認することができます。履歴は、登録者、未登録者、VIPまたは不審者など、お客様のニーズに合わせてカテゴリー分けすることができるため、履歴確認もスムーズに行えます。

■ 「ウォークスルー顔認証システム」の特長

(1) 顔画像を立体復元して登録
 顔や姿勢の変化に対応させるため、事前に登録された顔画像と監視カメラの画像を照合させるために、従来の2次元画像ではなく、独自に開発した画像処理技術を使い、事前に登録された顔画像を立体画像に復元して顔を登録します。1枚の顔写真から、その人物の立体顔形状を推定することで、従来の顔認証システムでは認証が困難であった、さまざまな角度の顔を認証することができます。
(2) 歩きながらでも認証可能
 従来の顔認証システムでは、システムの前で一旦停止が求められていました。また、ウォークスルー型であっても、歩く姿勢が変わると、カメラに映る顔の角度が異なるため認証が難しいケースがありました。
「ウォークスルー顔認証システム」(仮称)では、このような問題を解決し、歩きながらでも容易に認証ができます。
(3) 大量通行に対応
 カメラに映る通行者全員の本人確認を一度に行うことができるため、出退勤時などに通行が集中する施設においても、通行量を制限することなく、利便性とセキュリティを両立することが可能となります。標準的な構成で毎分60人の歩行者の認証が可能です。
 
 

「ウォークスルー顔認証システム」による入退室管理


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