報道資料 2014年3月3日
セコム医療システム株式会社
セコム株式会社

訪問看護では日本最大規模のモバイルネットワークの構築
訪問看護師に300台のモバイルICT端末を配布・使用開始
訪問看護サービスの質の向上と一層の業務効率化を目指す

セコム株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:前田修司)のグループ会社であるセコム医療システム株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:布施達朗)は、現在、全国32カ所にある自社の訪問看護ステーションに在籍する訪問看護師およそ300人に、1人1台タブレット型のモバイルICT端末を配布し、使用開始します。訪問看護サービスのご利用者の情報やこれまでの看護記録の即時参照、訪問看護記録の即時入力などができるモバイルICT端末を持たせることで、訪問看護の質の向上と一層の業務効率化を図ることとしました。本端末は3月1日(土)から全訪問看護師に配布し、使用開始します。
 これは、訪問看護の本格的なICT化(Information and Communication Technology)としては日本最大規模の取り組みとなります。

厚生労働省の発表によると、2025年には75歳以上の後期高齢者が2000万人を突破し、なかでも都市部では急増することが予測されています。そのため、同省では介護・医療・住まい・生活支援・介護予防が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築を目指しています。
 このたび、セコム医療システムが構築する訪問看護モバイルネットワークは、セコムの「セキュアデータセンター」で医療情報を安全に一元管理するだけでなく、必要に応じて主治医やケアマネージャー、地域の医療機関・介護事業会社との連携を見据えたものとなっています。そのため、訪問看護師は訪問看護サービスのご利用者宅からリアルタイムで動画像のやりとりを行うこともできます。

セコム医療システム(株)は、世に先駆けて1991年から訪問看護事業に取り組んできました。今回のモバイルICT端末の配布・使用は、これまでに培ってきた訪問看護のノウハウとセキュリティや情報通信事業で培ってきた情報通信技術、自社のデータセンター「セキュアデータセンター」の運営ノウハウなど、セコムグループの強みを活かして実現したものです。

■ モバイルICT端末導入のメリット

(1)リアルタイムな情報共有と医療連携
 通常、訪問看護師は一人でご利用者宅を訪問し、必要に応じて電話でセコムの訪問看護ステーションに連絡し、看護方針の確認をしています。今回導入するモバイルICT端末は、訪問看護師が入力した看護記録・動画像を訪問先から訪問看護ステーションと即時に共有できるため、リアルタイムに連絡・確認を行うことができます。
 また、ご利用者の状況の変化を主治医に報告・相談する際も、ご利用者宅から直接主治医に動画像などを送ることができるため、主治医の判断を早期に得られ、より適切な看護を実施することが可能となります。
(2)独自のデータセンターの活用で安心のセキュリティ
 記録されるすべての医療情報はセコムの「セキュアデータセンター」で厳重に保管・管理されます。また、訪問看護師が持ち運ぶモバイルICT端末上には、一切データが残らないシステム構成となっています。
 万が一、モバイルICT端末を紛失した場合でも、セコムトラストシステムズ(株)が提供する「あんしんモバイルサービス」により、端末の捜索・遠隔操作を行うことが可能です。
(3)遠隔医療インフラとしての拡張性
 地域の医療機関や介護事業所との情報共有が可能であるため、将来的には現在研究開発を進めている肌の色を精確に再現する「モバイル遠隔診療システム」のインフラとしての活用も検討しています。
(4)モバイル化による看護の質の向上と業務効率化
 セコムの「セキュアデータセンター」に保存されている過去の訪問記録や既往歴・服薬状況の看護記録を「いつでも・どこでも」確認することができるようになることで、看護の質の向上と業務の効率化が図れます。
①訪問看護の質の向上
 通常の訪問時はもちろん、夜間、緊急連絡を受けたときにも、ご利用者の情報を早く正確に把握できることで看護の質の向上につながります。
 また、申し送りなどの情報伝達の確実性を高めることが可能となるほか、日々の看護記録は時系列で画像データとともに管理することができ、経時的変化の把握が容易に行えます。
②入力負荷の軽減による業務効率化
 訪問スケジュールの確認・変更・訪問記録の入力をいつでも確認でき、移動時間や訪問記録の入力時間を短縮できます。これにより、サービスの質を担保しながら業務の効率化を実現し、訪問看護師の負担軽減につなげられます。
③教育ツールとしての効用
 モバイルICT端末の導入により、蓄積された看護記録やマニュアルを共有することが容易になり、訪問看護師の技術向上の教育ツールとして活用することができます。また、看護の現場で判断に迷ったときの指導ツールとしても活用できます。これにより、訪問看護師の負荷の軽減が期待されます。

なお、今回使用するモバイルICT端末に導入するシステムは、セコム医療システム(株)の訪問看護師の要望が取り入れられた富士通(株)「HOPE WINCARE-ES V2 訪問看護スマートデバイスオプション」を利用しています。

■ セコムの訪問看護師が活用するモバイルICT端末

図:セコムの訪問看護師が活用するモバイルICT端末


<参考資料>

■セコム訪問看護サービス

1991年、民間では初めてとなる訪問看護サービスの提供を開始。以来、在宅療養される患者さんのご自宅にセコムの訪問看護ステーションから看護師が伺い、療養生活のお手伝いをします。主治医の指示のもと、胃ろうなどの管の管理や生活指導などのサービスを提供しています。
 現在、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、兵庫県に計32カ所の訪問看護ステーションがあり、約300名の訪問看護師がサービス提供に努めています。

■【平成26年度厚生労働省予算案の主要事項】 資料より

第3安心で質の高い医療・介護サービスの提供
安心で質の高い介護サービスの確保
(4)介護・医療関連情報の「見える化」の推進 【新規】 4億円
地域包括ケアシステムの構築に向けて、全国・都道府県・市町村・日常生活圏域別の特徴や課題、取組等を市町村等が客観的かつ容易に把握できるよう、介護・医療関連情報の共有(「見える化」)のためのシステム構築等を推進する。

(6)訪問看護の供給体制の拡充【新規】 52百万円
在宅療養を望む要支援・要介護者に対する訪問看護サービスの安定的かつ効率的な供給体制を拡充するために、都道府県が、地域の実情を踏まえた訪問看護サービスの確保のための施策を策定し、その内容を介護保険事業支援計画に掲載するとともに、訪問看護師の定着支援や訪問看護ステーションの規模拡大に向けた初期支援等を実施する費用に対して補助を行う。

■【介護保険制度の見直しに関する意見】

平成25年12月20日社会保険審議会介護保険部会(第54回) 資料より
3.在宅サービスの見直し
(3)訪問看護
訪問看護は、地域包括ケアシステムの根幹を成すサービスの一つであり、特に医療ニーズのある中重度の要介護者が、住み慣れた地域での在宅生活を継続するための必須のサービスである。近年、利用者数、ステーション数ともに増加傾向にあるものの、将来のサービス需要の増大に対して、その担い手である訪問看護職員の確保が十分になされていないという課題がある。将来にわたって、安定的な看護サービスの提供体制を確保するため、その担い手である訪問看護職員の確保を推進する新たな施策の展開が必要である。
このため、例えば、以下のような取組を含めた新たな施策を推進する必要がある。
①訪問看護ステーションにおけるICT を活用した情報共有や業務の効率化による現職訪問看護職員の定着支援等


<本報道に関するお問い合せは、下記までお願いいたします。>
セコム株式会社 コーポレート広報部 齋藤  TEL:03-5775-8210



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