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1人の警察官で511人の国民の安全を見ています

 かつての日本は治安が良い国と言われてきました。その理由の一つに検挙率の高さがありました。時代が昭和の頃は、刑法犯の検挙率は6割以上ありました。しかしながら、平成に入ってから、検挙率の低迷が始まります。検挙率が下がった要因はいろいろ言われていますが、犯罪の数が膨れていったのが大きな要因と言えるかもしれません。それに伴い、治安を維持する警察官の仕事がますます忙しくなってきたと言えるでしょう。

 さて、日本の警察官の忙しさをご存じでしょうか。先進国の中でも最も忙しいと言えるかもしれません。警察官1人当たりが面倒をみる人口、いわゆる負担人口を国別に見てみると、日本がずば抜けて多いのです。欧米諸国が3百数十人であるのに対して、日本の警察官は511人を面倒見なくてはならないのです。

 刑法犯の認知件数が300万件に迫る勢いで増加し、これを何とか立て直すべく、警察庁は2003年に「緊急治安対策プログラム」を発表しました。さらに、2006年には「治安再生に向けた7つの重点」という施策をこれに追加します。これらの中に、防犯ボランティアとの連携強化、警備業を活用した犯罪防止という文言が含まれています。すなわち、治安の維持は警察だけではなく、みんなで創っていきましょう、という考え方が明文化されてスタートしたと言えるのかもしれません。

 警察でも犯罪の増大を受けて、警察官の増員を2001年から進めているようです。目標としては、警察官1人当たりの負担人口を500人まで減らすことです。先頃発表になりました、財務省の2009年度予算案でも、警察官の増員が盛り込まれており、負担人口はさらに減少することと思われます。

 地域の防犯ボランティアの活動も盛んになり、2007年12月末の時点で、37,774団体にもなり、2006年12月末に比べて1.2倍になっているとのことです。青色回転灯をつけた防犯パトロール車も年々増えており、全国で20,527台もの車が地域の安全を見守っているとのことです。

 自治体からのご要望により、セコムでも青色回転灯を装着した車でパトロールを行っています(セコムは東京都世田谷区、港区で受注)。ここ数年、犯罪数が減少しているとはいうものの、東海道新幹線ができ、東京タワーができ上がった頃の認知件数と比べると、2倍くらい犯罪数が多いのが現状です。さらなる治安回復を進めるためにも、警察、地域、そして警備業の連携がますます重要になってくるのではないでしょうか。

セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
濱田 宏彰

グラフ:警察官1人当たりの負担人口

警察官1人当たりの負担人口

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