ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 金庫がこじ開けられた?
最近のニュースで「金庫がバールのようなものでこじ開けられた」という話をよく耳にします。金庫であるにも関わらず、なぜこうも簡単にこじ開けられてしまうのでしょうか?
実は、この“こじ開けられた金庫”のほとんどは「耐火金庫」と呼ばれるものです。耐火金庫は、火災の際に内容物が燃えないように対策がなされた金庫であって、泥棒による故意のこじ開けに対抗する機能はほとんどないといっても過言ではありません。耐火金庫の頑強そうに見える本体や扉も、あくまでも火災に対抗するためのものであって、泥棒に対するためものではないのです。耐火金庫は、大型のバールで攻撃されたらひとたまりもないということをぜひ覚えておいて下さい。
泥棒に内容物を盗まれにくいように対策された金庫は「防盗金庫」と呼ばれるものです。本体、扉の造りなどが、外部からの人為的な攻撃に対し十分耐えるようにできています。バールなどでのこじ開けや、バーナーでの溶断接にも耐えうる性能を保持し、加えて火災に対する耐火性能も備わっています。防盗金庫を使うことで、多くの場合は泥棒から内容物を守ることが可能です。
防盗金庫、それ自身はこのように優れた防盗性能をもつのですが、最近は金庫ごと持ち去られる事例も多く、油断は禁物です。金庫を丸ごと盗んでしまう手口を防ぐためには、金庫の設置方法にも工夫が必要となります。
金庫を丸ごと盗まれないようにするために、金庫を建物の躯体に固定してコンクリートで埋めてしまうなどの方法で金庫と建物を一体化してしまう対策や、金庫をアンカーボルトで床面に固定する対策などが考えられます。また、金庫本体を組み立て式とし、設置の際に部屋の中で組み立てることで、金庫の大きさを建物の出入口よりも大きくしてしまうという工夫がなされたものもあります。
重要書類など、火災で消失しては困る物の保管に関しては、耐火金庫で事足りるかもしれません。一方、現金や有価証券、貴金属などの換金性の高い物を安心して保管する目的では、火災に加えて内容物が盗まれるリスクを軽減するために、防盗金庫を使い、かつ金庫自体に持ち去られない対策を施すことが重要となります。一般家庭における持ち去りの対策を行う場合、金庫をボルトで床に固定することを考えてください。
セコムからは、「ホームピタゴラス」の商品名で、ホームセキュリティへの接続が可能な家庭向け防盗金庫も発売されています。この金庫は、扉を不正に開けようとしたり、金庫を持ち去ろうとしたりした場合には、異常信号をセコムに送信する機能を持っています。
扉の施解錠を鍵で行っている金庫では、家の玄関の場合と同様に、施錠と鍵の管理に気をつけてください。扉の施解錠をダイヤル式の暗証番号方式で行っている場合、暗証番号の管理が重要となります。暗証番号を金庫購入時の初期状態から変えていない事例、金庫のダイヤルをガムテープなどで固定して、暗証番号を合わせなくても開くようにしている事例をみることがあります。これでは、せっかく泥棒対策で金庫を導入してもその意味が薄れます。金庫が“盗難リスクを低減するための道具”であることを忘れないでください。
いつの時代にも、どのようなケースであったとしても、セキュリティ対策と利便性は、常に相反するものです。使用者にとって、ある程度不便であるということは、泥棒にとっても盗みにくいということです。金庫の管理を行うにあたってはこのことを意識することが重要になってきます。
(参考)
○
家庭向け防盗金庫「ホームピタゴラス」
○
各種防盗金庫「ピタゴラス」
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利 康文
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