ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > カセットコンロの持つ、ガス貯蔵部と燃焼部が近いという宿命
11月頭に、静岡県で、調理中のカセットコンロのカセット式ガスボンベが爆発し、周りにいた6名が重軽傷を負ったという事故がありました。これから冬本番、鍋の季節に入ります。カセットコンロが使われる機会も多くなることでしょう。今回のテーマはこのカセットコンロについてです。
カセットコンロとは、液化ブタンガスを充填した燃料容器(ボンベ)をコンロの内部に装着する形の簡易コンロであり、法的には「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」(LPG法)の政令指定品目として規制を受けています。
今回の静岡県のケースでは、カセットコンロに大きめのフライパンを乗せて調理したために熱が逃げず、コンロ内のガスボンベに伝わって爆発に至ったと言われています。カセットコンロは、それ単独でどこにでも持って行けることに加え、通常の鍋釜をそのまま使うことができるという利点があります。そのため、特に屋外における調理の際に重宝しますが、使用には通常のガスコンロとは違う注意が必要です。
まず大事なことは、鉄板や鍋などの調理用具が、カセットコンロのボンベ収納部の上にかぶらないようにすることです。ボンベの上に鉄板や鍋などがかぶると、そこから調理の熱が伝わってボンベ内のガス圧が高まり、爆発事故につながりかねません。今回の静岡県のケースではこれにより事故が発生しました。特に、大きな鉄板の下に、複数のカセットコンロを置き、大量の焼きそばなどを作ろうとすることは大きな危険を伴いますので、ぜひ止めるようにしてください。イベントなどの際に、やってしまいがちなことですので、特に注意する必要があるかと思います。
カセットコンロは、ボンベ内のガス圧があるレベルを超えると、自動的に火が止まるしくみ(安全装置)を持たせることが義務づけられており、通常は一旦作動した安全装置は、簡単には解除できないようになっています。カセットコンロで調理中に急に火が消えた場合は、この安全装置が働いている可能性が考えられます。この場合、カセットコンロの使用をすぐに中止し、ボンベ部が高温になっていないか、異常がないかを確認することが重要です。安全装置が働いて火が消えた場合、その原因を取り除かずに、安全装置を解除して調理を継続することは大きな危険が伴います。
カセットコンロは、ボンベから液化ガスが漏れた場合にも、それが内部にたまらない構造にしなければなりません。そのため、カセットコンロは底面があいた構造となっており、コンロの下に熱が伝わりやすくなっています。特に、分厚い鉄でできた、たこ焼き器やジンギスカン鍋など、それ自身が熱を持ちやすい調理器具を使用すると、コンロを置いた台などに熱が伝わり、それが原因で事故につながる可能性があります。
また、この他にもガスボンベ交換中の事故や、ボンベを高温になる場所に置いてしまったことによる事故、ボンベ廃棄時の事故なども報告されていますので、カセットコンロ用ボンベを扱うときには取扱説明書を良く読み、そこから外れない使い方を心がけることが重要です。
カセットコンロは、それ単独でどこにでも持って行けるという利便性のために、ガスボンベと燃焼部をおなじケースの中に持たざるを得ないという宿命を負っています。作る側のメーカーは、事故を防ぐためにその構造に十分に注意を払い、法による厳しい規制もかけられています。ユーザーである我々も、カセットコンロの持つこの宿命を十分に意識し、利用時には十分に注意を払うことが必要なのではと思います。
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利 康文
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