ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > テレビとセキュリティサービスの違いとは
昨今、テレビの売値が劇的に下がっています。実際に、数年前には数十万した薄型テレビが数万円で手に入るようになっており、家電量販店のテレビ売り場は、デフレを実感する一番の場所になった感があります。多くの家電メーカーがこの価格の下落に苦しみ、テレビ生産から撤退を検討しているメーカーもあるようです。
それではなぜテレビの値段はここまで下がったのでしょうか。それは、多くのメーカーによる競争の結果によるものです。アナログ時代のテレビは価格による差異が出やすく、売り場に並んだ「高いテレビ」と「安いテレビ」の間には、素人でも分かる明確な違いがありました。それゆえ、人はよりお金を出してでも高いテレビを買っていたわけです。お金を出した価値が一目で分かったからです。
このテレビにデジタル化の波が押し寄せ、誰が作っても一定レベル以上の品質の製品ができるようになりました。メーカー間の差異が分かりにくくなっただけでなく、素人には「高いテレビ」と「安いテレビ」の違いを見分けにくくなったのです。
価格のみで評価される商品とは
品質面で、ほかとの違いが分からなくなった商品は、単純にその価格のみで、それを買うかどうかが判断されます。このように、品質面で人が分かる差がほとんど存在せず、製品評価のモノサシが価格のみになった商材を「コモディティ」と呼びます。
高度なデジタル技術が導入された結果、テレビの品質面の差異は、一般の人々には分かりにくくなってしまいました。その結果、テレビは、価格のみで評価され、購入の意志決定がなされるコモディティになったと言えます。
コモディティ化したモノは、誰が作ってもほぼ同じレベルの品質のものができるので、もはや自ら生産する必要はありません。生産コストの安い国や地域にある生産専門会社の工場にモノの生産を委託し、それを買い上げて市場に出すことで、生産設備への投資が不要となった安い競争力のある商品を市場に出すことができるようになります。
コモディティ化したモノは、生産設備を持たない企業と、安い人件費でモノを作ることに特化した生産専門工場にとって、恰好の商材となります。テレビはこの条件にぴったり当てはまったのです。
サービス商品の場合
サービス商品の場合はどうでしょうか。基本的に人が提供するのがサービス商品ですから、同じ値段でも、その品質が大きく異なることは日常茶飯事です。価格のみでそれを購入するかどうかを判断する人はほとんどいないでしょう。
喫茶店で同じ銘柄のコーヒーを飲むのでも、店の対応や雰囲気などは店によって異なるのが普通です。人はそれらを総合的に判断して、どの店でコーヒーを飲むかを決めています。価格のみで決めているわけではありません。同じ値段でも、サービスの提供者によって、その質が異なることを経験的に知っているからです。
セキュリティサービスも価格のみでは選べない
さてそれでは、「ホームセキュリティ」などのオンラインのセキュリティサービスの場合はどうでしょうか。セキュリティサービスも「人が提供するサービス」ですから、サービス提供者ごとにその品質は異なります。
一方、セキュリティサービスには、ほかのサービスの場合と異なり、人が目に見える形で動くのは何かあったときが中心であるため、サービスの品質差が見えにくいという宿命があります。そのため、価格が中心となった購入判断をしがちです。しかし、セキュリティサービスは、誰が提供しても品質が同じコモディティというわけではありません。すなわち、価格のみでは選べない商品なのです。
サービスの品質を最終的に決めるのが人であることから、サービス商品はコモディティになりにくいという特質を持っています。これはセキュリティサービスの場合も同様です。サービス商品は、コストのみで選んではいけません。ホームセキュリティなどのセキュリティサービスを選ぶ際の参考にしていただければと思います。
(参考)
・安心豆知識「その組織は人を育てているか サービス業の宿命 」(2010/10/18)
・安心豆知識「名人が名人である理由 勘を養うには何が必要か」(2010/9/27)
・安心豆知識「セキュリティは単純な価格比較では選べない」(2009/3/2)
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利康文
子どもの安全ブログ | おとなの安心倶楽部 |
女性のためのあんしんライフnavi |