ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 体を動かしておく必要性
筆者は、セキュリティを「ある組織のオペレーションが、あらかじめ定めたプラン通りに進み、理由によらず、それが妨げられないこと」と考えています。個人の生活では、組織とは「家庭」であり、オペレーションに相当するものとは、その家庭で営まれる「平穏な日々の生活」です。このような観点に立つと、個人にとってのセキュリティ、すなわち「広い意味でのホームセキュリティ」とは「起こるかもしれないさまざまな出来事に影響されず、平穏な日々の生活が続くこと」という形で理解ができるようになります。
平穏に暮らすためには
個人が日々の生活を平穏に送るためには、さまざまなモノが必要です。建物としての家、家具や衣類、家電製品などの家の中にある生活に必要な品々、電気やガスなどのエネルギー、ネット環境や電話などの通信手段などです。必要なモノは形あるものに限りません。生活に必要な糧を得るための収入源、自らや家族の健康などの無形のモノも含まれます。私たちの「平穏な日々の生活」は、数多くのモノたちに支えられているのがお分かりかと思います。
これら有形無形のモノたちが使えなくなると、私たちは「平穏な日々の生活」を送ることができません。それゆえ、私たちは「平穏な日々の生活」を維持するために、これらのモノたちを守る必要が出てくるのです。これが広い意味でのセキュリティ対策です。
世に存在する、設備や機器、建物など、「人が意図して作ったモノ」は、それが作られた瞬間から、物理学の法則にもなっている「自然の理」に従って、どんどん朽ちる方向に変化し出すことを、過去に本コラムで触れました。変化するのは、物質的なモノだけではなく、組織や制度などの無形のモノたちも同様です。それゆえ、私たちには「平穏な日々の生活」を維持する努力が求められます。
常に動かしておくことが重要
よく「人が住んでいない家は傷みやすい」と言われますが、私たちは日々の生活を送る上で、半ば無意識に「平穏な日々の生活を送る努力」をしています。水を使ったり、窓を開閉したりすることが、その「努力」にあたります。家の機能維持のためのセキュリティ対策の一つになっているということです。
これは人間の体にも言えることで、体のある部位をまったく使わないでいると「廃用性萎縮」と呼ばれる生理作用により、その部位の筋肉が落ちたり、関節が固まったりしてうまく動かせない症状が出てきます。健康を維持するためには、体は、常に動かしておく必要があるのです。
この廃用性萎縮は、組織にも起こり得ます。ある組織のオペレーション、個人にとっては「平穏な日々の生活」に、本来ならば発生しない突発的な事件が発生した際、それに迅速に対応することで、発生する被害を最小化するための一連の行動のことを「クライシスマネジメント」と呼びます。
そして、このクライシスマネジメントの際には、いつもは動かさない機能や部位を動かしたり、周囲の状況変化に合わせて自らの体制を変えたりする必要が生じます。しかし、普段から、これらに注意していない人や組織には、廃用性萎縮が起こっていることも多く、うまく対応することができないのです。
常に動かしているのが「プロ」
自衛隊や警察、消防など、社会のクライシスマネジメントを担当する組織が、何もなくても、普段から「何かあったとき」に備えて繰り返し訓練をする必要があるのはここにあります。これに関してはセコムもまったく同じであり、いざという時に適確なサービスを提供するために、常日頃からさまざまな訓練をしています。いざという時、普段から状況に合わせた訓練ができていない人や組織は、適確な判断による適切な行動を起こすことはできません。いざという時こそ、普段からそのための情報収集を行い、訓練をしている本当の「プロ」に頼るべきなのです。
(参考)
・安心豆知識「『平穏な日々の生活』が続くことこそ大切」
・安心豆知識「モノを大切に長く使うコツとは」
・安心豆知識「いざという時に備えて訓練が必要」
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