ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > レジ袋考 目に見える形で現れたセキュリティの価値
・人件費を減らした小売り形態
日本における小売業の代表的な形態のひとつにスーパーマーケット(スーパー)があります。スーパーは、終戦後間もなく日本でも展開され始め、高度経済成長期にまたたく間に全国に拡がりました。
それまでの小売業では、売り場に人間がいて、買いに来た人と直接やり取りしながら商品を手渡していました。ですから、売り場にいる店員を最小限にして、そこに並べた商品の選定などをセルフサービスとしたスーパーは、人件費などの経費を大幅に減らすことができるという意味で、当時としては画期的な小売業の形態でした。
削減した経費の一部を、商品の値下げという形で消費者に還元し、それを求めて消費者が集まり・・・、これを繰り返してスーパーは成長し、現在に至っているわけです。
・レジ袋が誕生したいきさつ
スーパーが普及するまでは、野菜は八百屋、肉類は肉屋、魚は魚屋と、それを専門とする小売店に「買い物カゴ」を持って行くのが当たり前でした。しかし、売り場にいる店員が少ないスーパーでは、人々に、この買い物カゴを持ってきてもらいたくなかったのです。
買い物カゴを持って売り場に入られると、出来心などで、そのカゴに売り場の商品を入れる万引きが増える可能性がありました。スーパーでは、そのため、人々が「買い物カゴを持って売り場に来る」必然性を無くす必要がありました。これが、スーパーという小売業の形態と、使い捨ての買い物カゴである「レジ袋」が、切っても切れない関係になった大きな理由の一つであったと考えられます。
・レジ袋の使用は当たり前ではなくなってきた?
このような経緯で、スーパーと不可分の関係で、社会に浸透してきたレジ袋ですが、昨今は状況が変わってきています。最近のスーパーでは、現代版「買い物カゴ」であるマイバッグを持ってくることが推奨されるようになっていることは、皆さんご存じの通りです。実際、多くの人々がレジ袋を断り、マイバッグを使うようになっています。
・多くのスーパーが、マイバッグ推奨派に転じることが出来た理由とは?
スーパーでの買い物にごく普通に使われていたレジ袋は、今や必ずしも「当たり前のもの」ではなくなってきています。この理由としては、人々のエコ意識の高まり、経費削減に向けた小売業のトレンド、などが考えられますが、その中でも、忘れてはいけないことの一つに、スーパーが以前ほど犯罪被害に遭わなくなってきていることがあります。
社会への防犯カメラの浸透に伴い、スーパーの売り場に多くのカメラが設置されるのは、今や当たり前になっています。これによって、万引きや、隠し持ってきた異物を売り場の商品に混入されたりといった、スーパーにおけるセキュリティ上のリスクが、以前にくらべて低減されてきています。スーパーの売り場に、マイバッグという「買い物カゴ」の持ち込みが推奨されるようになったことは、決してこれと無関係ではないのです。
・セキュリティ対策が生み出す、目に見える形の価値
過去のコラムで、「対策の効果が見えにくい」というセキュリティ対策全般の宿命について触れたことがあります。しかし、今日あなたがレジ袋を断ったことで得られた、買い物ポイントや値引きといった便益は、スーパーのセキュリティ対策によって生み出された価値の一部が、目に見える形で、消費者に還元された姿でもあるのです。
このように、世の中はセキュリティ対策の目に見える価値が認識される時代に、だんだんと移り変わって来ていることを覚えておいて頂ければと思います。
(参考)
・安心豆知識「セキュリティ対策の宿命 失敗事例しか見えない」
セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
甘利康文
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