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東日本大震災の記憶が薄れていませんか

 前回、お伝えしましたように、9月1日は防災の日です。その前後を防災週間として、防災意識の向上を狙って、さまざまなイベントが行われています。今年も、8月30日から9月5日までの一週間で行われています。
 東日本大震災から2年半が経とうとしています。みなさんの防災意識は薄れていないでしょうか。非常用持出し袋の中の食料は賞味期限切れになっていないでしょうか。防災週間を機会に、ご家庭の防災体制を見直してみてください。

自宅での避難生活のために
 これまで、災害時のための家庭での備蓄は3日分と言われていました。しかし、東日本大震災を経て、さらに、南海トラフにともなう巨大地震が懸念されるいま、その基準が変わりつつあります。政府の防災基本計画が見直され、3日分から1週間分になりました。
 なぜ、3日分から1週間分に変わったのか。東日本大震災を大幅に超える被害を想定すると、国や自治体による救助や支援、いわゆる公助は、すぐには始動できない可能性が高いということです。そのため、自助をこれまで以上にしっかりと準備して欲しいというものです。また、避難所に収容可能な人数も限られるため、自宅の被害が少ない人は自宅で生活をしてもらうように促すことも検討しているようです。そのためには、自宅の耐震補強や家具の転倒防止などをしっかりと行う必要があります。

家具などの固定率は増えているか
 内閣府が行っている「防災に関する特別世論調査」というものがあります。防災に対する国民の意識を把握する目的で、2〜3年おきに行われています。この中で、耐震補強工事の実施状況や、家具などの転倒防止を行っているかどうかを問う設問があります。以前、このコラムでも家具の転倒防止状況について紹介させていただきました。
 2007年の調査では24.3%の人が、2009年の調査では26.2%の人が実施していると回答しています。その後、2011年か2012年に調査が行われる予定だったと思いますが、震災の影響で行われていないようです。実際に東日本大震災では、対策を行っていたために被害がなかった、もしくは少なかったという方がたくさんいらっしゃいました。

みんなのための防災対策
 南海トラフにともなう東海・東南海・南海地震が連動して起こった場合は、死者32万人と想定されています。ただし、この数字は最悪のケースで、対策を行うことで5分の1に減らすことができるとされています。その対策のひとつとして、家屋の耐震補強工事も含まれています。
 自助、共助と言われますが、自分が助からなければ誰かを助けることはできません。ある1軒の建物が倒壊することで、救急車や消防車といった救援車両が通れなくなるかもしれません。近所に住むご家族を助けられなくなるかもしれません。自分のためだけではなく、周りのみんなのためにも十分な防災対策を考え直してみていただきたいと思います。

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セコムIS研究所
リスクマネジメントグループ
濱田宏彰

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大地震に備えて「家具や冷蔵庫など
を固定し、転倒を防止している」と
回答した人の割合の推移(内閣府)

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