子どもを守る「まちの防犯力」!私たちにできることは?
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セコムの舟生です。
通学途中などに子どもが狙われる事件が相次いでいることから、子どもたちの安全を守るための取り組みが見直されつつあります。
9月に名古屋市や広島市で起きた事件をきっかけに、新しく防犯パトロールを発足させたり、通学路に防犯カメラを設置したり、各地でいろいろな動きが始まっているようです。
子どもを守る取り組みとして、とても素晴らしいことだと思います。しかし、子どもの防犯は何かひとつの対策で成り立つものではありません。
「保護者」「学校」「子ども自身」、そして「地域」という4者が連携し、どのように補いあうかを考える視点が必要だと思います。1つでも欠けると抜け穴ができ、犯罪者や不審者が入り込む隙を与えかねません。そこで今回は「地域」に焦点をあてて、子どもたちが安全に暮らせる街がどのようなものか、街の安全力を高めるために何ができるか考えてみましょう。
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▼ 近所づきあい、していますか?
親や教師が一緒にいられないときに、子どもを見守る"目"となるのは、近所の住人やなじみのお店など、暮らしている地域そのものです。ですが、残念ながら隣近所とのつながりは年々希薄になってきていると言われています。同じ年頃の子どもが近所にいないために、「なかなか知り合いができない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。地域性にもよるとは思いますが、家族構成が違えば、生活時間帯も活動エリアも異なりますから、なかなか難しいことですよね。
しかし、近隣の人と関わりをまったく持たずに生活をしているというのは、実はとても怖いことです。無理に近所づきあいをする必要はありませんが、顔を合わせた人にあいさつをする習慣だけは、親はもちろんのこと、子どもにも身につけさせたいものです。
▼ 防犯力を高めるあいさつの方法とは
「たかがあいさつ」と言うことなかれ。
あいさつはコミュニケーションの第一歩であり、相手を認識していることへの意思表示でもあります。地域とつながる役割もありますが、犯罪抑止力としても大きく働きます。ですから、おざなりに声だけかけるのではなく、相手の顔を見て、しっかりと「おはようございます」「こんにちは」とあいさつすること。そして、自分から声をかけることがポイントです。
何度かあいさつを交わしていれば、徐々に会話も生まれるでしょう。あいさつをしたことがない人がウロウロしていたらすぐに気がつきますし、もしも相手が犯罪をもくろむ人間だったら「しまった!顔を覚えられた」と思い、躊躇するはず。
あいさつが、街の安全力向上につながるということです。
▼ 安全な街づくりのために。キタナイを放置しない意識を
犯罪者や不審者は、人目につくことを何よりも恐れています。ですから、街全体の印象として、「住民の無関心」を感じ取ると、狙いを定められやすくなります。ご自身が住んでいる地域に、以下のようなことは思い当たりませんか。□ 公園の塀や駅の高架下などで落書きが放置されている
□ 路上駐車や放置自転車が多い
□ 粗大ゴミが未収集のままになっている
□ 公園のトイレや水道が壊れている
□ 公共の場の植え込みや植栽が手入れ不足上記のようなことが当たり前になっていたり、長い間ほったらかしになっていたりする街には、不特定の人間が入り込みやすくなります。
「だからって、自分で落書きを消したり、掃除をしたりするなんて...」と思う方もいらっしゃると思います。気になることがあったら、まずはその場所を管理している自治体などに連絡してみてはいかがでしょう。どの自治体にも生活や安全担当の部署があると思います。一報を入れるだけでも、改善の第一歩になります。
「見て見ぬふり」はもっともよくありません。地域に関心を持ち、犯罪者を寄せ付けない街づくりへの意識を持つことが、わが子の安全につながると心得ましょうね。
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子どもの安全を守る地域の目として代表的なのは「こども110番の家」。
子どもたちが不審者に襲われそうになったり、付きまとわれたりしたときに避難できる場所で、その多くは地域のボランティアとして、一般のお宅やお店などが協力しています。どこにあるのかを把握しておくことも大事ですが、お店や会社などで請け負っている場合は、休日や営業時間外などは誰もいないこともあるようです。そうしたことを確認しておくことも大事ですね。
子どもを見守る目は多ければ多いほど安心につながりますから、さまざまなところに知り合いを増やしておきましょう。そして、保護者自身も、わが子だけではなく地域を見守る目になる意識を持っていただきたいと思います。
2012.11.19