【特集 街の安全・防犯 パート2】広がる!「安全マップ」作成の取り組み
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セコムの舟生です。
前回の【特集 街の安全・防犯】では「通学、通塾・習い事の帰り道に気をつけることは?」と題して、子どもの行動範囲にある"危険ポイント"の見分け方や、子どもの理解を深めるための「安全マップ」の作り方をご紹介しました。
安全マップは、子どもの危機回避能力向上に有効な方法です。
全国の小・中・高校で体験学習のひとつとして取り入れるところが増えていますし、夏休みや冬休みの自由研究として取り組んでみるお子さんも少なくありません。
ただし、ポイントを踏まえていないと、せっかく安全マップづくりに時間をかけても、その効果は半減してしまいます。
セコムでは、スクールユニフォームの総合メーカーであるオゴー産業(株)と協力して、毎年「全国地域安全マップコンテスト」を開催しており、先日、今年で第6回となるコンテストの審査が行われました。
今回は、受賞作品の一部のご紹介とともに、安全マップの効果をより高めるためのノウハウをまとめてみます。お子さんと一緒にぜひご一読ください!* * * * * * * * *
▼ 過去最多の応募数となった第6回「全国地域安全マップコンテスト」
「全国地域安全マップコンテスト」の審査員は、オゴー産業の片山さん、子どもの危険回避研究所の横矢真理所長、そして舟生の3人。
これまでも、毎年たくさんの応募作品を拝見してきましたが、今年は過去最多となる301点もの応募がありました。
▼ 優秀な安全マップに共通する5つのポイント
応募作品の数々を目の前にすると、お子さんたち一人ひとりが、どれほど一生懸命取り組んだのかが分かります。色とりどり、思い思いにつくられた安全マップは、お子さんの個性がよくあらわれていて、思わず笑顔になってしまうものばかりでした(^^)
作品をひとつずつ丁寧に見ていくと...目に留まった作品には、こんな共通点がありました。
<優秀な安全マップのポイント>
1) ポイントが絞られている
2) 地図が簡潔で分かりやすい
3) 危険の理由だけではなく対策が併記されている
4) 自ら体験したことや気づきが反映されている
5) 写真でも危険な理由が分かる
▼ 安全マップは子どもの理解度を測るものさし
安全マップづくりで陥りがちなこととして、見たもの感じたことをすべて盛り込もうとした結果、大事なポイントがよく分からなくなるということが挙げられます。そのほか、地図づくりに没頭しすぎて、肝心の安全情報がおろそかになることもあります。
安全マップづくりで大切なことは、よく考えて情報を整理したのち、厳選したポイントのみを、わかりやすく書き込んでいくことです。そのために、フィールドワークの前からチェックすべき点を絞り込んでおくといいでしょう。
たとえば、「人の目が少ない」「110番の家がある」といったキーワードをいくつかピックアップしておくと、子どもたちは具体的な"場所"を発見しやすくなり、安全マップをつくる過程で危険を察知するチカラも身についていきます。
また、フィールドワークの段階からチェックポイントが絞れていると、写真の撮り方も変わってきます。たとえば、公園全体の写真を撮っても、何が危険なのか伝わりません。昼でも薄暗かったり見通しの悪い場所などに絞って撮れば、「なるほど、これは危険だな」といつでも思い出せますね。
安全マップを分かりやすくまとめられるかどうかで、子どもの危険に対する理解度を推し測ってみてください。
▼ 受賞作品の総評
例年のことながら、審査は白熱。どの作品もそれぞれ優れた点があり、また今年は応募作品が多かったこともあり、おおいに頭を悩ませることになりました。
今回、私が選んだ作品は...
【広島県五日市小学校3年生の作品】
危険ポイントを洗い出しただけではなく、地域の方にインタビューを試みて、第三者的視点からも街の安全を分析している点を高く評価しました。地図に「まとめ」も付いていて、非常に分かりやすかったです。
【世田谷区玉川聖学院中等部1年生の作品】
なんといっても、ポイントが簡潔でまとめ方が非常に上手でした。また、行動範囲に絞って集中的に描いているので、とてもわかりやすいですし、深く掘り下げて街を観察できていると感じました。危険を発見する着眼点も素晴らしかったです。
みなさんも、受賞ポイントを参考にしてみてくださいね!* * * * * * * * *
安全マップには、防犯の視点だけではなく、交通事故防止や防災の視点なども取り入れると、より面白いものになります。
忘れてはいけないのは、「安全マップの目的は、地図を作ることだけではない」ということ。地図づくりの課程の中で身を守るために必要な視点を身につけ、新たな発見をすることが重要であって、できたマップはその副産物に過ぎません。ですから、お子さんと一緒に安全マップづくりに取り組む際は、大人が初めから答えを言わないようにすることが大事です。子ども自身が考え、気づきを得られるよう、サポートしてあげましょう。
ぜひみなさんも安全マップづくりにチャレンジしてみてくださいね!2013.05.20