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安心への第一歩は情報の入手から〜ネット検索の有用性〜

  先日、筆者の自宅に「Confidential FAX(秘扱いFAX)」と大きく表示されたFAXが送られてきました。アメリカ人弁護士を名乗る人物からで「ある日本人実業家が巨額なお金を口座に残したまま事故で他界し、これを相続する親族が見つからず困っている」という趣旨で始まり、「日本人であるあなたに協力してもらえれば、これを手に入れられるので折半しないか」と持ちかける内容が英文で綴られていました。普通の人間が一生掛かっても稼げないくらいの目のくらむような大金です。しかし、残念ながらこの「おいしい内容のFAX」は、筆者にだけ特別に送られたというわけではなかったようです。今の時代、ネット検索という手段によって、世の中で起こっている大体のことは分かるのです。

 先に本コラムで、「自分はナイジェリア政府の元高官で、裏から入手した巨額資金を資金洗浄するために、お礼はするので、あなたの口座を経由させて欲しい。ついては送金手数料を」と持ちかける「ナイジェリアの手紙」や、「スペインで人違いによって囚われの身になった大富豪の保釈金を出してもらえば、お礼はたんまり・・・」と持ちかける「スペインの囚人」と呼ばれる、世界的に有名な古典的詐欺の手口を紹介しましたが、筆者宅を含めて複数に送られたFAXの内容も十分に怪しく、これらの手口に類するものであることを疑えます。外務省が注意を喚起している「巨額の遺産相続を持ちかけてくる」手口そっくりで、まさにそのものではないかとも思えます。

 警察ではこの夏に出された警察白書で「犯罪のグローバル化と警察の取り組み」という特集を組み、「日本における国際犯罪が今どうなっているのか、それに対する警察の取り組みはどうなのか」を、国民に向けて発信しています。そして、国際化する犯罪への「抵抗力」を高めるために、犯罪の手口など被害を避けるための「情報」に注意することが大切である旨を呼び掛けています。私たち国民の側も、警察からの呼びかけを真摯に受け止め、国境が存在しないネット社会の進展や、国際間の移動が簡単に行えるようになっている今の世の中の現状を念頭におき、グローバル化している犯罪の情報に対して敏感になる必要があるかと思います。

 今回のFAXのケースでは、ネット検索によって、世の中でどういうことが起きているかの情報を入手でき、その情報をベースに「不用意な行動を起こさない」という判断をすることができました。警察白書の言うとおり、国際化、多様化する犯罪の手口にきちんと対応し、自らの身を守るためには、世の中の「情報」に注意することが大切なのです。

(参考)
犯罪手口に関する開国の時代(2010年2月8日「安心豆知識」)

おいしいメールと国際詐欺(外務省)

日本国内で遭う国際詐欺事件(外務省)

平成22年警察白書(警察庁)

セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利康文

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