ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 泥棒に対するマーケティング
皆さんは、マーケティングという言葉を聞いて、一体何が思い浮かぶでしょうか? マーケティングは、詳しく述べると分厚い本になってしまうくらいの深いテーマなのですが、今回のコラムでは、「世の中に潜在的にいる顧客に、何らかの方法でメッセージを発して、望む行動を起こしてもらうための働きかけ」として考えてみます。企業は、多かれ少なかれ、世の中に潜在的にいる顧客に対してメッセージを発し、「自らの商品を買ってもらう」という「望む行動」を起こしてもらうように働きかけを行っています。多くの企業が、なんらかのマーケティングを行っているということです。
マーケティングの世界には、消費者がある商品を知ってからそれを具体的に購入するに至るまでに、Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)のプロセスをたどるという有名な理論があります。キーワードの頭文字を取って「アイドマ(AIDMA)の法則」と呼ばれます。アイドマの法則では、消費者の状態を、「認知段階」「感情段階」「行動段階」の3つに分けて考えます。メッセージに反応して、ある商品に注意を払うようになる「認知段階」、その商品に対して興味や関心を抱き、欲求を持って、それを記憶する「感情段階」、そして最終的にその商品を自分のものにするために「買う」という行動を起こす「行動段階」の3つです。
さて、ここで、あなたの家に泥棒が入ったとして、マーケティングの基本的な考え方であるアイドマの法則をベースにして、その過程を考えてみたいと思います。泥棒があなたの家に入ったと言うことは、あなたの生活習慣、家、そして周りの環境などが、「招かれざる客」である泥棒に対して、何らかのメッセージを発していたと言うことです。泥棒は、そのメッセージに反応して、あなたの家に着目し(認知段階)、関心を抱いて、侵入したいという欲求を持って、それを記憶(感情段階)、そして最終的に侵入(行動段階)に及んだと理解することができます。
泥棒が「あなたの家に侵入する」具体的な行動を起こすまでに、このような過程を経ると、マーケティングのテクニックを逆にうまく使うことで、泥棒に対して侵入するという行為をなるべくさせないように、働きかけることができます。
泥棒に対してメッセージを発しないというのも一つですが、生活をしている以上、メッセージの大元となる日々の行動などを完璧に隠蔽することはなかなかできません。今回は、泥棒に対して、積極的にあるメッセージを発することで、泥棒に「侵入を諦める」という「望む行動」をさせることを考えます。
泥棒に「侵入を諦める」という行動を起こさせるために、あなたが発すべきメッセージとは「防犯に関する強い意志」です。この泥棒に対するメッセージは、目に見える形の防犯対策を行うことで発信することができます。目に見える防犯対策は、泥棒に対して「ここは防犯に気をつかっている」というメッセージそのものなのです。
泥棒は、このメッセージから防犯に関するあなたの強い意志を感じ(認知段階)ます。そして、ここに入っても他にも何か対策があるのでは、面倒なことになるのではという思いを抱いて(感情段階)、最終的に、ここに入るのは止めておこうという決断(行動段階)をさせます。
もちろんこのメッセージは万能ではなく、例外もあり得ます。しかし、泥棒は財物を盗ることさえできれば、どの家に侵入しても良いのです。泥棒が、絶対にあなたの家に入ってやるという強い意志を持っている場合を除いては、防犯に関する強いメッセージを発することで、あなたの家に入ろうとする確率を、小さくすることができます。ホームセキュリティや防犯ガラス導入などの、外から見える形の防犯対策は、この様な観点からも効いてくると言えます。
(参考)
・安心豆知識「防犯対策すると逆に狙われる? 泥棒は趣味にあらず」(2009/1/19)
・セコム・ホームセキュリティ
・SECOMあんしんガラス(防犯ガラス)
セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利康文
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