ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > 暑さ対策と防犯対策を両立するには
7月に入り、いよいよ暑くなって来ました。今年は、震災の影響もあり、例年以上に節電を求められる夏となります。日本全国において、さまざまな節電のための取り組みがなされているのはご存じの通りです。夏の電力消費の主役は冷房です。皆さんの周りでも、冷房を出来るだけ使わない、使ったとしても設定温度を上げ、使用時間も必要最小限に抑えるなどの取り組みをされていることと思います。
昔から暑さ対策を考えてきた日本家屋の特長
日本に古くから伝わる随筆集に「徒然草」があります。、吉田兼好(鎌倉時代末期の歌人・随筆家)は、この徒然草の中で「家の作りは、夏のことを考えるのがよい。暑いときの作りが悪い家は、我慢できない」と述べています。
実際に、夏、高温多湿に見舞われる日本の家屋は、古くから風通しを良くして涼しく住むということを第一に考えられていました。外に向かって大きく開け放つことができる「掃き出し窓」や戸にも「ガラリ」と呼ばれる換気口が設けられていたり、部屋と部屋は「欄間(らんま)」と呼ばれる通気口でつながっていたりする構造は、現代の家でも珍しくありません。
これら以外にも、格子、すだれ、のれんなど、日本建築には風通しを良くし、外からの視線をさえぎるための工夫が数多くあります。これらはすべて高温多湿の日本の夏を心地よく過ごすために、先人達が考え出した生活の知恵だといえます。
泥棒対策の先人の知恵
このように、外からの風の進入を積極的に受け入れるように作られた日本家屋ですが、招かれざる客をも受け入れてしまう弱点もあります。掃き出し窓やガラリなどは、泥棒にとって恰好の侵入のターゲットでもあります。このような弱点を持つ日本家屋ですが、先人達はどのようにして泥棒を防いでいたのでしょうか。
古くから日本人は、風通しの良い母屋とは別に、泥棒や火災に対してがちがちに「守り」を固めた「蔵」と呼ばれる建物を建て、そこに重要なものをしまっていました。風通しとセキュリティを両立させるために、役割の違う建物を2つ作って対応していたのです。
また、蔵を建てるといいましたが、実際には蔵は一部の富裕層のものであり、多くの人々にとっては、一般的なものではありませんでした。町で生活する人々は、「番屋」と呼ばれる詰め所で、交代で見張り役をしていたのです。昔も今と同じように、泥棒を防ぐのは「周囲の目」だったというわけです。
現代の「蔵」、現代の「番屋」とは
現代の日本に生きる私たちには、蔵を建てるといっても現実的はありません。しかし私たちには、蔵の代わりに、泥棒や火災に対しても大切なものを守る「防盗金庫」と呼ばれる具体的対策があります。また、現代には「人が交代で見張りをする番屋」の代わりに、センサーという機械の目が見張り役を行うセキュリティシステムもあります。これらを適切に使うことは、風通しを確保しながら夏を快適に安心して過ごすためにも役立ちます。
吉田兼好がいうように、日本では、夏の風通しが良い家の作りが求められています。しかし、同時にその家は、泥棒の侵入を受け入れやすい家でもあることを忘れてはいけません。
(参考)
・安心豆知識「金庫がこじ開けられた?」(2009/7/6)
・安心豆知識「泥棒が一番忌避するものとは」(2009/4/20)
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