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窓の役割から防犯対策を考える 建築学の観点から

 暑中お見舞い申し上げます。8月に入り、1年のうちで一番暑い季節を迎えました。昨年のコラムではエアコンの話題に触れましたが、本年は節電の夏ということもあり、窓を開けて休んでいる方も多いと思います。今回は、建築学の観点から、「窓」の役割について考えてみたいと思います。

建築学における窓の役割とは
 建築学では、建物の開口部の目的を「通行」「視認」「採光」「通風」の4つの観点から整理しています。窓は、この内の「通行」を除く「視認」「採光」「通風」の3つがその役割であり、この3つのうちのどの機能をオンにし、どの機能をオフにするかでその性質が変わってきます。

「通風」のために窓を開けると、特に夏の夜には、虫が外から飛び込んできます。この招かれざる客である虫の侵入を避ける目的で設置されるのが「網戸」です。網戸は、窓に対して虫の「通行」を妨げながら「通風」の機能を働かせるための仕組みを持っています。

掃き出し窓は特殊な窓
 室内のちりやごみを掃き出すために、床と同じ高さに設けた窓は、「掃き出し窓」といわれています。この窓は、「視認」「採光」「通風」の3つに加えて、扉として「通行」の役割 を持っている特殊なタイプの窓です。「掃き出し窓」は、開放すると大きな開口部を確保でき、風通しを良くすることができるため、高温多湿な夏に備えなければならない日本の住宅においては特に多く用いられます。

窓の通風機能が狙われる
 多くの窓は「通風」機能を持たせるために、何らかの可動部を持っており、家の内と外をつないだり、切り離したりできるようになっています。何らかの形で「開けたり閉めたり」できるということです。  虫と並んで招かれざる客の代表である泥棒は、外からの空気の進入口である「通風」の窓を狙ってきます。特に、クレセント錠(通常の引き違い窓に付いている錠)やハンドルの回転により短冊状のガラスが動くルーバー窓(ジャロジー窓)などの可動部は壊しやすいことも多く、侵入のさいに狙われるターゲットとなります。
「採光」と「通風」がその主な役割で、外の風景を取り込む目的の「視認」の役割を持たない窓では、泥棒に対する網戸である「面格子」などの設置を検討してみるのも良いと思います。

泥棒対策も建築学の範囲に
 今回は、建築学における窓の役割をベースに考えてきました。現代の建築学では、利便性や快適性を中心に組み立てられていますが、一方で泥棒の侵入対策も求められています。建築学の方向からも、窓や扉を意図的に狙ってくる泥棒の存在を明確に意識し、その対策を積極的に考えることが期待されています。

(参考)
安心豆知識「暑さ対策と防犯対策を両立するには」(2011/7/11)

セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利康文

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