ホーム > ホームセキュリティ > 月水金フラッシュニュース > 月水金フラッシュニュース・バックナンバー > ネット泥棒から自分の財産を守る 便利とリスクは常に裏腹
・インターネットバンキングが急速に普及した理由とは?
インターネットを介して銀行口座の残高を確認したり、送金手続きができたりする「インターネットバンキング」サービス。日本に登場したのは、今をさかのぼること14年前です。西暦2000年のことでした。インターネットバンキングは、必要な時には場所や時間を問わず、口座の状況をチェックできたり、振込みの手配ができたりすることから、キャッシュレス社会に移行しつつある今を支える重要な存在になっています。
ネットバンキングは、使う側である私たちにとって便利なだけでなく、金融機関側にとっても、一般小売業のネット店舗の場合と同様、実店舗を構えるための経費や人件費を抑えられるというメリットがあります。さらに、現金を扱わないため、それを数えたり、運んだりといった、実際の現金を扱うためのコストを軽減できたりもします。加えて、現金を扱わないことから、紛失や窃盗などのリスクが低減されるという利点もあります。
そのため、金融機関では、ネットバンキングによる振込みや預金などで振込手数料の軽減や金利の優遇などの形で利益の還元を行って、実店舗による取引からネットを介した取引へと利用者を誘導する方向でサービスを展開しています。
このように、利用者側、金融機関側の双方に大きなプラスがあることから、2000年に登場したネットバンキングはあっという間に普及し、今を生きる私たちに欠かせないインフラとして、日々の生活に密着した存在になっています。
・ネットバンキングが新たに生み出したリスク
一方で、ネットを介して、口座内の預貯金を情報的に盗むという新たな犯罪手口が生まれ、大きな社会問題になっています。ネットバンキングの普及が、情報の形になった現金を盗るという新たな犯罪手口を生むきっかけになったということです。
警察庁の発表では、インターネットバンキング利用者の口座から預貯金が、勝手に別口座へ送金される被害は、本年に入ってからの4カ月余りで14億1700万円。すでに、年間で過去最悪だった昨年一年間の被害(14億600万円)を上回ったとのことです。
ネットバンキングの口座に不正にアクセスするためには、何らかの方法で、口座番号やパスワードなどの、口座所持者のID情報を手に入れる必要があります。そのため、情報の形になった現金を盗み出そうとするネット泥棒は、利用者を「偽の銀行サイト」に誘導しID情報を入力させる「フィッシング」や、利用者のパソコンに、銀行サイトにアクセスした際の情報を盗み取る悪意のソフトウェアである「スパイウェア」をこっそり潜入させるなどの手法を使います。
・ネットを介した犯罪手口への対抗法
これらの手口に対抗するためには、
(1) パソコンの基本ソフトなどのソフトウェアは必ず最新状態に更新し、スパイウェアなどの悪意のソフトが入る、新たに発見された「穴」(セキュリティホール)をふさいでおく
(2) ウィルス対策ソフトを必ず使い、その状態も常に最新に保っておく
などのシステム的な対策を行い、加えて、
(3) 金融機関のサイトへのアクセスには、メールなどに記されたリンクを使わない
(4) 金融機関のサイト上の情報や、金融機関から送られてくるメールなどの情報に注意する
(5) 不審な送信者からメールで送られてくるリンク先のサイトは閲覧しない
(6) ネットバンキングの口座から怪しい出金がないかを定期的に確認し、いつでも口座凍結ができるようにしておく
などの地道な運用的な対策を行うことが重要です。これらの運用的対策を抜けなく行うためには、ネットバンキングで使う口座を限定しておくことも有効です。
これまでも、世の中で便利な仕組みが生まれると、ほどなくしてそれを悪用した犯罪が発生していました。これについてはインターネットバンキングも例外ではありません。便利な仕組みに取り囲まれた世界に住む者として、私たちはそれを常に意識し用心する必要があるのです。
次回コラムは、対策についてもう少し詳しく書きたいと思います。
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